プログラム参加前の自分について教えてください
普段は大学で電気電子工学を専攻していますが、以前から環境問題にも関心がありました。しかし、自分が学んでいる工学の技術や知識が、実際の社会においてどのように環境貢献につながるのか具体的なイメージを持てずにいました。また、地方から上京し国際色豊かな大学生活を送る中で、学内での学びにとどまらず、もっと世界を知りたい、多様な価値観に触れたいという思いが強くなっていました。
そのような時期に、理工学部の学生へ向けた案内の中に本プログラムを見つけました。理工学部向けとしては珍しい内容であったため興味を持ち詳細を確認したところ、アフリカからの留学生とともに佐渡島へ赴き、地域の環境や課題について学ぶ取り組みであることを知りました。
自身の専攻領域と環境問題の接点を現場で模索できる点、そしてアフリカの学生や他学部の学生と共に学ぶことのできる機会に強い魅力を感じ、思い切って挑戦を決意しました。参加前は自身の専門知識や語学力がどこまで通用するか不安もありましたが、それ以上に現場での実践的な学びと、それによって自身の視野が広がることに対する期待が大きい状態でした。

現地での経験、学び、活動内容は?
- 加茂湖での水質調査では、目視での透明度確認に加え、リン酸態リンやアンモニア濃度、pHなどの分析を実施しました。地道な作業を通じて、客観的な数値データに基づく状況把握の重要性を学びました。
- 漁業組合や農家、牡蠣農家を兼業する方々へヒアリングを行いました。持続可能な地域課題の解決には、環境面だけでなく社会や経済の側面も合わせた統合的な視点が不可欠であると実感しました。
- トキの保護施設や佐渡金山、原生林の視察を行いました。自然資源の保全と活用が地域の歴史や経済に与える影響を確かめ、保護と地域振興のあり方について見識を深めました。
- 市役所での講義や高校生議会の聴講を通じ、若者の意見を取り入れる行政姿勢を学びました。
- 高校での農業体験をし、高校生がアフリカ学生の国紹介に真剣に耳を傾ける姿勢や、アフリカ学生が収穫作業を楽しむ様子を目にしました。

印象に残った出来事は?
特に印象に残っている出来事は、夕方に行われた各グループでの議論タイムと、そこに至る協働のプロセスです。
水質調査チームとして分析器具や試薬を用いた実験作業自体も非常に興味深く、採水場所ごとに異なる数値の原因として、牡蠣殻の存在やオイルフェンスといった佐渡特有の要素を見出していく過程に深い面白さを感じました。また、実験の待ち時間等に他チームの議論へ耳を傾けることで、多様な視点や専門知識に触れ、深い敬意と刺激を受けました。
そして、日中の加茂湖での調査や聞き込み作業は根気を要するものでしたが、現場を共にする中で強固なチームの連帯感が生まれていきました。現場では日本語以外での対話が難しく不安を抱く学生も多かったため、通訳やサポート役に挑戦しました。自信がない状態からの踏み出しでしたが、この挑戦を通じてアフリカ学生との確固たる信頼関係が築かれ、国籍や専門を超えた真摯な議論へ繋がったことが強く記憶に残っています。

参加前のご自身と比較して、成長したなと実感していることや、身につけたスキルや知識は?
プログラム参加を通じて、自身の専攻分野をより広い視野で捉え直す視点と、状況に応じて自ら行動する姿勢を身につけることができたと感じています。参加前は電気電子工学の技術的側面ばかりに関心が向きがちでしたが、佐渡島での調査や行政・地域住民の方々との関わりを通じて、現実の課題解決には技術のみならず社会、経済、行政施策といった複数の要素が絡み合っていることを学びました。
そして、語学力や対話の面においても確かな変化がありました。参加前は高度な語学力が必要とされると身構えていましたが、現場で求められたのは完璧さではなく、自らの意見を明確にし、相手の背景を尊重して耳を傾ける姿勢でした。自信がない状態から通訳などの役割に主体的に挑戦した経験は、異分野や異文化の環境下でも粘り強くコミュニケーションを図る精神的な成長につながりました。なにより周囲への尊敬の思いと協働の重要性を、実際の体験を通して身につけることができました。
今回、理論にとどまらず現場に出て実践することの意義を体感したことで、自分の専攻をどのように社会へ還元していくかという具体的な課題意識を持ち始めることができました。

この経験を将来、どのように活かしていきたいか?
本プログラムで得た多様な視点と現地での実践的な経験を活かし、今後の大学での研究活動および将来の進路開拓に取り組みたいと考えています。日頃の電気電子工学の学びにおいては、技術の確立だけでなく、その技術が実際の地域社会や環境、経済にどのような影響を及ぼすかという多角的な評価軸を持って向き合っていきたいと考えています。
そして将来的には、持続可能なエネルギー基盤の構築や環境課題の解決に対し、工学の立場から貢献できる専門人材を目指したいです。佐渡島で学んだ地域の歴史や資源を尊重する重要性、そして行政や教育現場も含めた多主体による協働のあり方は、将来いかなる事業や研究に携わる上でも重要な指針になると考えています。 また、アフリカ学生たちとの交流を通じて国際的な協働の重要性を改めて実感しました。今後は学術的な知見をさらに深めるとともに、中長期的な海外留学や異分野との共同プロジェクトにも積極的に挑戦し、国や専門の枠組みを超えて社会課題の解決に寄与できる力を養っていきたいと考えています。

参加を検討している学生へのメッセージをお願いします!
本プログラムは、佐渡島という独自のフィールドで、国籍や専門分野の異なる学生とともに濃密な課題解決に取り組める点が大きな特徴です。地道なフィールドワークや連日の議論は相応の体力を要しますが、教室の座学では得られない視点や知識を得ることができます。自身の興味や素直な考えを開示し謙虚に学ぶ姿勢を持てば、大きな成長につながる機会となります。関心をお持ちであれば、ぜひ挑戦してみることをお勧めします。















